日本救急医学会関東地方会常任幹事長を拝命しております筑波大学医学医療系救急・集中治療医学 井上貴昭(いのうえよしあき)です。本学会は、母体を日本救急医学会とし、関東地方にご勤務される医師、看護師、救急隊員など、救急診療の第一線に立つ約1100名の会員で構成される地方会です。日本救急医学会では最大規模の地方会となります。
本学会は関東地方の救急医学の進歩と発展を図り、救急医学の普及に貢献することを目的に1976年4月に発足し、2024年で48年目を迎えます。これまで救急医学の礎を築かれた諸先輩方のご尽力により、73回の学術集会を開催し、救急診療の質の向上と学術の発展に努めて参りました。本学会の特徴として、医師、看護師、救急隊員と、多職種の会員で構成されます。職種毎の医師部会、看護部会、救急隊員部会に加えて、関東MC検討委員会・関東MC協議会連絡会・関東災害医療検討委員会・関東災害医療連絡会など、職種を超えて、救急・災害の現場で必要とされる諸会議があり、いろいろな視点から議論し、連携が得られやすい構造になっています。
学術面では、本学会が企画運営した院外心肺停止患者の多施設前向き研究であるSOS−KANTOプロジェクトが、これまで2002年、2012年、2017年と時代を変えて実施され、国内外に多くのevidenceを発信して参りました。また本学会で報告された学術情報は、機関誌である『日本救急医学会関東地方会誌』に論文掲載され、2023年12月までに実に44巻、224本の論文が報告されております。
首都・東京を擁する関東地方には約4330万人の人口が密集し、実に本邦の人口のおよそ1/3が活動する生活圏です。都市部から地方までその地域構造は大きな相違があり、発生する救急事例も大きく異なります。また医療機関数や医療スタッフ数にも地域差があるため、さまざまな目線で救急医療を議論できる土壌があります。従って都市も地方も抱える本地方で見られる救急医療の問題点は、現代の我が国の救急医療が抱える問題を反映するといっても過言ではありません。さまざまな視点から救急医療が抱える問題点を議論し、解決の糸口を見つけ、次世代のよりよい救急医療を発展させるために、さまざまな意見が交わせる本学会に是非ご参加いただき、救急医療を科学する視点を育んでいただきたいと思います。
日本救急医学会関東地方会
常任幹事長 井上貴昭